会社法人の破産手続きと、個人破産である自己破産は何が違うのか?

会社法人の破産手続きと、個人破産である自己破産は何が違うのか?

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アメリカではトランプ体制になり、対米はもちろん、対中、対ロ関係にも大きな変化が出てきそうな昨今。

 

 

日本でも、景気自体が良くなっているとは全体としてはとても言えない状態は相変わらず続いています。

 

 

貧富の格差の増大によって、ますます搾取する側の資本サイドだけが儲かり富む一方で、多くの労働者階層においては非正規雇用の増大も含め、労働待遇は一向に改善されていかない流れが絶ち切れません。

 

 

こうした社会状況ですから、経済状態が好ましくなく、債務を重ねて債務超過に陥り、遂には破産せざるを得ない企業(法人)や個人も後を絶ちません。

 

 

このような破産でも、会社・法人の場合と、個人の場合では大きくその手続きや措置にも違いが出てきます。

 

 

最も大きな違いというのは、会社・法人の破産である法人破産の場合には、会社(法人)は消滅するのに対して、個人の破産である個人破産の場合には、破産後も個人は消滅しない、という点です。

 

 

個人は人間であるので当然のことなのですが、この両者の根本的な立ち位置の違いが、破産手続きや破産後の措置にも大きく影響を及ぼします。

 

 

個人破産の場合には、まず第一に、借金地獄で苦しむ債務者の借金を一旦0にして、生活の再生を手助けする救済手段という側面が大きいので、破産後の生活を考慮して進められます。

 

 

すなわち、破産が成立すると同時に免責許可決定が下され債務返済の義務を免除されたり、自由財産制度なども設けられています。

 

 

一方、会社・法人などが破産する法人破産においては、このような救済措置は存在しません。

 

 

加えて、破産手続きの運用面に関しても、法人破産は、個人破産に比べて数段厳格になっています。

 

 

ここでは、以下において、こういった会社や法人の法人破産と、個人が破産する個人破産の手続きや諸々の違いについて少し掘り下げて考察していきたいと思います。

 

 

 

会社法人の破産と個人破産の基本的な違い

借金が積もり積もって債務超過状態に陥ってしまった場合、もうどうしようもない借金地獄から抜け出すためには、債務整理が現実的な手段となります。

 

 

債務整理の中でも、破産法に基づく破産手続きを行っていくことが、現実的手段として推奨されます。

 

 

破産法に基づいた破産手続きは、会社等の法人だけでなく、個人でも利用することができます。

 

 

会社・法人の場合でも、個人の場合でも、もう債務超過でにっちもさっちもいかなくなった場合では、やっぱり最後の手段は破産という選択肢になるかと思います。

 

 

あくまで法律上、破産法上においては、会社・法人が利用するケースと、個人が利用するケースを区別していません。

 

 

法的な建前上のスタンスはそうなっています。

 

 

つまり、会社・法人の破産手続きも、個人における破産手続きも、原則として、手続きそのものには違いがないという大前提を取っています。

 

 

とはいうものの、実際的にはだいぶ違うのが実情です。

 

 

それは、根本的な考え方の違いから発する差異です。

 

 

つまり、会社・法人が破産する法人破産の場合には、破産すれば、その会社や事業体といった法人自体が消滅します。

 

 

一方、個人破産の場合には、破産しても個人は消滅しません。

 

 

当たり前のことなんですが、この着地点の大きな違いから、実際の破産手続き〜破産宣告に至るまでには法人破産と個人破産とではかなりの違いが生まれてくるわけです。

 

 

 

破産法に定められた免責手続きの有無における違い

そもそも、裁判所に破産も申し立てを行い、破産手続きを開始するにあたって、「同時廃止事件」と「管財事件」とに振り分けられて手続きが進められます。

 

 

同時廃止事件とは、主に個人破産で、特に換価処分すべき財産(資産)も所有していない場合の自己破産の扱いで、破産手続きの開始と同時に、配当手続きも終わることから同時廃止と呼ばれています。

 

 

個人破産の多くは、この同時廃止事件として扱われます。

 

 

次に、管財事件とは、個人破産であっても、破産申立人が一定の財産(資産)を所有している場合に、裁判所は破産管財人を選任して、財産を没収し、換価処分して債権者に配当する扱いのことです。

 

 

会社・法人が破産する法人破産の場合にはほぼすべてが後者の管財事件として扱われることになります。

 

 

破産法に定められた免責手続きの考え方は、個人破産と法人破産では大きく違います。

 

 

個人破産の場合には、同時廃止事件であれ管財事件であれ、免責不許可事由に該当しない限りは、破産が認められると同時に免責許可を受けられて、借金は0になります。

 

 

これは、破産者の破産後の生活を再生させるという救済措置の考え方からそうなっています。

 

 

これに対して、法人破産の場合には、破産と同時に会社や法人は消滅します。

 

 

ですから、法人破産では、個人破産のような免責許可はなく、すべての事件は、管財事件として扱われすべての財産は換価処分され債権者に配当されます。

 

 

しかし、それでも債務返済ができない場合でも、免責許可は出ませんが、主体である会社・法人そのものが破産とともに消滅するため、支払いきれなかった分の債務も消滅するのです。

 

 

なので、法人破産の場合には、免責許可は得られないけど、結果的には債務返済義務が消滅するということが免責に該当すると考えても良いと思います。

 

 

 

会社法人や、個人の財産・資産の処分における違いとは!?

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上記の通り、法人破産の場合には、破産の結果として会社・法人は消滅してしまうわけですから、その財産はすべて没収して換価処分され、債権者に分配される管財事件として扱われるのは理にかなっています。

 

 

債権者の立場からすれば、1円でも多く換価処分して弁済に充ててもらわないと完全な貸し倒れになってしまいますからね。

 

 

一方、個人破産の場合には、考え方異なっていて、破産後の個人の生活の再生ということを主眼においた救済措置の側面が大きいわけです。

 

 

なので、個人の場合には、法人破産のようにすべての財産(資産)を没収して換価処分してしまうと、破産者の破産後の生活に大きな支障をきたし、再生を阻害してしまいかねません。

 

 

そこで個人破産においては自由財産制度という制度が設けられています。

 

 

これはどういったものかといえば、個人破産においては、生活するために必要最低限の財産(資産)は処分しなくても良い、という制度です。

 

 

この自由財産制度のお陰で、破産手続きが済み、破産宣告を受けて、免責許可決定が下った破産後の生活においても、破産者は再生への第一歩を踏み出せるわけです。

 

 

 

まとめ

以上、個人破産と法人破産の様々な破産手続きや免責などに関する考え方について考察を進めてきました。

 

 

破産法上は、個人破産と法人破産において、破産手続き上の違いはないとはいえ、実際には、会社と人間個人が破産する場合の、裁判所の考え方は大きく違うという事実はおわかりいただけたとは思います。

 

 

しかし、法人破産の場合にも、実際の免責許可決定は受けないものの、会社・法人の消滅とともに債務返済義務も消滅するという実質上の免責措置があるのでそれは救いであると言えます。

 

 

いずれにせよ、個人破産の場合においては、何はともあれ借金地獄で苦しんでいる破産申立人の破産後の生活再生が第一義として考えられていること。

 

 

そのために、法人破産にはない「自由財産制度」という防衛機能も設けてあるわけです。

 

 

ですから、破産法という法律だけではわからない個人破産と法人破産の根底の考え方の違いを知っておくということは大事でしょう。